僕はずっと待っていた

十一月下旬、

新聞を開いてショックだった。

俳優としての彼はよく知らないが、

自転車旅の彼は番組でよく観ていた。

いい男だと思っていた。

娘が一人暮らしをしていた頃、

娘に会いに行く時の道を彼が自転車で走った。

いつも通る道の喫茶店で昼を食べていた。

僕が自転車で走る道を彼も走った。

珈琲屋を始めて、

彼が店に来ることをずっと待っていた。

思い続けていた。

火野さん、

僕はあなたをここでずっと待っていたのです。

時折り腰のことを番組内で言っていた。

こうなることを知っていて、

それでも走っていたのだろう。

僕も常々そうありたいと考える。

店に来て欲しいと強く思っている人が、

また一人居なくなってしまった。

淋しい。

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